漁村ライフ

年末に津本さんから学んだことと来年の抱負

今年も慌ただしい年末が近づいて参りました!
水産業界にとって、年末年始は1年で最大の繁忙期。
ざっと見積もって、最終週は普段の3倍以上の出荷量を要求されます。
そんな年末が近づく中、津本さんから学んだエピソードがありますので、ダッシュで書き上げました!
どうぞご覧ください🙌

津本式とは?

今年は、赤坂水産が兼ねてより取り組んでいた、魚粉0で仕上げた真鯛、「白寿真鯛0」を、ようやく発表出来た年です。
各所からご好評いただいております白寿真鯛0。

現在、津本式究極の血抜きを施した鮮魚のみ、先行販売しております。





津本式究極の血抜き
は、ホースを用い魚を脱血することで、魚の長期保存を可能にする技術です。



実は白寿真鯛0の発表と同時に、ひっそりと津本式への取組のページも用意いたしましたので、津本式をご存じない方は、是非ご覧ください!



津本式の具体的な方法は↑に書いてある通りですが、私は、初めて会う方に、「津本式って何?」と聞かれたら、
チルドで魚を長期保存するための、最も丁寧な処理で、現時点では最も効果的と思うもの」と答えます。
実際に、保存力がより効果を発揮する、輸出先や熟成魚を扱う飲食店さん、遠方のこだわり派の個人のお客様に、津本式で処理した魚はご好評いただいております。
しかし、1尾1尾の魚にそれなりの時間を費やす処理です。
このことから、実は遡ること1ヶ月ほど前、スタッフとの会議の中でこんなやりとりがありました。
現場監督「年末の人手も時間もない時に、普段より多い津本式の注文をどうやってこなすつもりだ。」
私「私が1人で深夜から早出して処理します。」
私「何があろうと、普段からお世話になっている飲食店や輸出業者の方々の要望に100%応えます。」
※実際はこんな理性的な答え方ではありませんでした。
無茶な答えですが、この時はこの方法しか思い浮かびませんでした。
しかし、「津本式究極の血抜きの考案者」である津本さんとのやり取りで、
私や赤坂水産が、津本式の本当の価値を理解していないことに気づかされました。

津本式と年末

白寿真鯛0ですが、大変ありがたいことに、津本さんご本人にも、お取り扱いいただいております。



きっかけとなったエピソードがこちら


津本さんの11日目レビュー

津本さんからは、毎週ご注文をいただいており、先日も、22日発送希望でご注文をいただきました。
その発注量がかなり多く、驚いて津本さんに連絡したところ、実はこれが、年末分の発注だったのです。

年末までまだ10日近くあるこのタイミングで、鮮魚(〆た魚)の発注が最盛期を迎えることなど、今までありませんでした。
私は年末分の津本式のオーダーは、深夜に出てきてやる覚悟をしておりました。
しかし、津本さんが、年末直前の活魚出荷の最盛期と重ならないように配慮して下さったため、余裕のあるタイミングで津本式で沢山の魚を処理することが出来ました。

料理を提供する1週間前に〆た魚に、通常の魚以上の価値を感じ、購入していただけることなど、今までの魚文化では考えられないことでした。
現場監督やスタッフの皆も、抱えていた問題がすんなりと解決し、唖然としていました。

もちろん、津本さんのお得意先様の深い津本式への理解あってのことですが、津本式の長期保存力は、津本式の魚を扱う方にだけでなく、私達生産者や鮮魚店にも大きな恩恵を与えてくれることが分かりました。



そびえ立つ津本タワー。1つにつき、2キロオーバーの鯛が6尾入ります。

長期保存力の本当の価値と抱負

津本式などの保存力を伸ばす取組は、魚、その魚を扱う方、食べてくれる方、そして生産者のことまでも考えた先に、行き着く答えなのかもしれないと感じました。
そして、長い年月と労力をかけて、津本さん本人が長期で寝かした魚も美味しいということを世に伝えているからこそ、今回のような食べる1週間前の納品が受け入れられているのだと思います。

生産者や鮮魚店は、年末は休みがないだけでなく、寝る時間を削って当たり前。
そんな魚業界の好ましくない伝統を、保存力が和らげてくれるかもしれないと感じました。

長時間労働だけでなく、担い手人材不足、輸送中、ストック中のへい死、劣化によって生じるロス、限られた輸送手段と輸送範囲、産卵期の魚の出荷・・・
魚業界の抱える問題の多くが、新鮮な魚のみを求めることが原因な気がしています。
私も漁村生まれなので新鮮な魚も大好きです。
新鮮な魚を供給できる今の体制を持続可能なものに変えるためにも、魚の
保存力を高めるとともに、長期保存したシーフードを、より多くの方に受け入れてもらうことが最重要と再認識しました。


そこで来年の抱負を、↓の2つに定めました!

■2022年の抱負
①赤坂水産の水産物史上、最長の保存が可能なシーフードを世に送り出す。

そして、
②長期に保存した魚も、扱いによっては新鮮な魚以上に美味しく食べられることを伝えていく。

もし来年の年末に、この2つを達成できてない場合は、責任を取って坊主にします!


白寿真鯛0も、どうやら〆て10日頃が食べ頃の、変わった真鯛に仕上がっています。
これまでの真鯛は、〆て4日目くらいが食べごろという感じでしたので、保存力はかなり向上しているといえるのではないでしょうか?
こちらも引き続き検証していきます!

この忙しいタイミングに、このコラムを読んで下さっている方々には、今年一年、本当にお世話になったことと存じます。

本当にありがとうございました!
それでは皆様、良いお年を!




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