漁村ライフ

激闘!Forbes SMALL GIANTS AWARD 2024

皆様ご無沙汰しております!
先日、赤坂水産取締役として、「Forbes JAPAN」 が開催するSMALL GIANTS AWARD 2024-2025に参加して参りました。


全国から推薦を受けた150社の中から、事前審査によって選ばれた7社のファイナリストによるコンペティションピッチ!
ピッチは以下の審査基準の下、5分のプレゼンと8分の質疑応答に応じるものです。

このような大舞台に選出され、大変光栄な一方で、私は何を語るべきかについてとても悩みました。
そして、やはり、赤坂水産を説明するには、日本の海や地方を取り巻く環境や、真鯛なしでは語れないと考えました。
我々は真鯛養殖業者だから真鯛を育てたりPRしているわけではありません。
真鯛を売れる魚にすることが、「日本の海の価値を証明する」数少ない方法の1つだと、本気で信じているからです。

なぜ日本の海を価値を証明しないといけないのか?
日本の海は地方だからです。
日本の海は水産業だからです。


私が向き合っているものは、目に見えて進む地方と水産業の衰退です。
はっきりいって強敵です。
満席に近かった青年部の総会が、この3年のうちにガラガラになったとき
2024年現在9歳の息子の同級生が30人いる地元の出生数が、コロナ禍を経て1桁になったとき
愛媛県の漁業就業者数が20年で半数以下になったと知った時
幾度となく心が折れそうになりました・・・

2024年9月2日 愛媛新聞 漁業経営体 最小を更新



また、温暖化等の気候変動も相まって、四季のある日本の海での養殖は、より難しくなってきています。
世界情勢や円安により、飼料価格も暴騰しています。
こんな環境で持続的に育てることができる魚は、もうほとんどいません。


日本の海は国民皆様の共有財産であり、私たちはその海を預かり魚を育てているに過ぎません。
その海を何も育たない不毛の地にしますか?
日本での、地方での、海面養殖を諦めますか?
どこででもできる閉鎖循環養殖に舵を切り、消費地圏近郊への集中を進めますか?
私は先端技術やサスティナブルな取組が大好きな人間ですが、EVの例の通り、電力等に大きく依存した施策が、必ずしも持続可能とは思えません・・・

消費地圏から遠い地方や海にも価値をもたらすには、海面養殖でなければ駄目なんです。
豊かな海だからこそできる海面養殖の価値を証明したいんです。
そのために、こんな環境でもたくましく育ってくれる奇跡のサスティナブルフィッシュ、「真鯛」を日本中の漁村で育てられる環境を作りたいと考えています
しかし、現状真鯛の需要は国内(と韓国)以外になく、生産量を増やすことはできません。
だから、真鯛を海外の人々にも愛される魚にしようと考えているんです。


「日本の海の価値を証明する」
日本の海は、範囲でかすぎない?
なぜ三瓶の海の価値証明ではないのか?
なぜ赤坂水産の成功を追求しないか?
日本の海や地方の衰退は想像以上に強力な敵です。
それに立ち向かうのには、強力な力が必要だからです。
赤坂水産の利益を追求していては、株主以外の応援は得られません。
三瓶の海の価値を証明する取組では、三瓶にゆかりのある人からの応援しか得られないでしょう。
私は日本中の人々から協力してもらうために、日本中の海の価値を証明する、海を豊かにすることを宣言しているのです。
そして、そのためには、私自身はもちろん、赤坂水産がなくることも辞さない覚悟で臨んでいます。
だから、このイベントで称賛されるものが赤坂水産や私では意味がないと考えました。
会場にお越しいただいた世界で活躍する人々の1人にでも、真鯛という魚が日本中の海を豊かにできる可能性があることを知ってもらいたいと考えました。
そしてその方々から何らかのアドバイスや協力が得られれば最高です。

イベントに登壇するにあたり、絶対に満たす必要があることは、主催者の要望や審査基準に応えること。
これは、推薦していただいた方、選考していただいた方、審査していただく方への礼儀だと考えています。
そのため私は、審査基準に沿った内容に加えて、真鯛の重要性を訴えるために、ありったけの情報を詰め込みました。
結果、5分のピッチで推奨されるスライドの数は5~7枚ですが、私のスライドは27枚になりました。
一般的に考えると、無謀な構成です。
しかし、今回は以下の条件が揃っていました。

①クジでトップバッターを引き当てた
②審査員やオーディエンスは世界で活躍する優秀な方々

このことから、トップバッターという立場を利用し、知的好奇心の溢れる優秀な方々が最も集中力のあるタイミングで、膨大な情報を叩き込む作戦にでました。
これが”領域展開 無量空処”です。

もちろんスライドを見て考えながら話す時間はありません。
全て暗記して臨みました。
自分で画面を切り替える余裕などないので、パワポの自動画面切り替え機能を初めて使いました。

そうして臨んだピッチがこちらです。



いかがでしたでしょうか?
内容が専門的かつ膨大なため、伝わりづらいところもあったかと思いますが、
このプレゼンで、特別賞のグローカル賞をいただきました!
フタを開けると、他のプレゼンテーターは会社としても経営者としても一段も二段の上の方々ばかりで、唯一私が対抗できるものがあるとしたら、海や地方に対する意思だけで、グローカル賞は、それを審査員の方々にも伝えることができた結果だと考えています。


ファイナリストの皆様の事業内容やプレゼンも大変面白く勉強になるものばかりなので、是非他の方々のプレゼンもご覧ください!
懇親会では反転術式が間に合わず、半分抜け殻のようになっておりましたが、異業種で活躍される方々から沢山の刺激や学びを得られました。
何より、経営の熟達者達から、真鯛に対して様々なアドバイスをいただきました。
これらの学びや出会いを大切にして、真鯛を通じて日本中の海の価値を証明できる日まで挑戦してまいります。
来年も是非、水産業を一緒に楽しんでください!



SMALL GIANTSは本当に面白い企画で、2022年も2023年も素晴らしい企業ばかりなので是非ご覧ください!


SMALL GIANTS AWARD 2022


SMALL GIANTS AWARD 2023

最後に、このような場に立てたことを本当に嬉しく、ありがたく感じております。
特に優れているわけでもなく、資本力も小さい私の意思を信じ、支えて下さる皆様のおかげです。
推薦して下さったステークホルダーの大野さん、素敵な応援コメントをいただきましたソフトバンクの須田さんにとびきりの感謝をお伝えいたします。
本当にありがとうございました!

ForbesのGALAにもお招きいただき、夢のようなひとときを過ごしました。

審査員の方々に振舞った5日熟成の炙り刺しは、現状の熟成冷凍の到達点だと考えています。
少量のみ試験的に販売しております。
味は私が補償いたしますので、ふるさと納税やお魚定期便さんのサイトからお求めください。

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