漁村ライフ

ラッキー

先週の夕方、やり残した仕事のために、子供たちと共に仕事場に向かっていると、道に1匹の子猫がうずくまっていました。
近くで見るとガリガリにやせ細っていて、身体はノミに埋め尽くされていました。
動きや反応もほとんどなくお腹で息をしている状態で、手遅れな状況に見えました。
小さい身体で必死に苦しみに耐える姿を不憫に感じましたが、野良猫のたむろする田舎の漁場付近ではよくあることで、1匹を救っても次の1匹を救えるとは限らず、幾度も無力感を感じてきました。
車の危険のないところに避難させて立ち去ろうとしましたが、子供たちは納得しませんでした。

「動物のお医者さんに診てもらって!」

上記の事情に加え、その時の時刻は18時半。そこからどんなに急いでも最寄りの動物病院に着くのは18時55分で、診察時間終了の19時に間に合うかどうかというタイミングに、これだけ手がかかりそうな猫を連れて行くことも気が引けました・・・
さらに、我が家には(真鯛60万尾とヒラメ10万尾に加え、)猫2匹(これも元野良)と息子が近くの川で取ってきた魚もいます・・・

そのお世話はほぼ私たちがしています。
最近は餌の高騰も激しく、懐事情も厳しいです。
何より、助かる見込みは少なく、より悲しむことになる確率が高いと感じており、断固たる決意を持って断ろうと決めました。


「絶対にお世話するから病院に連れて行ってあげて!」
私の心は動きません

「どこにも連れて行ってって言わないから!」
それでも私の決意は変わりません

「メザスタ我慢するから!」
彼女たちの献身的な精神に、私の心は動きました。

空気孔を空けたトロ箱にタオルを敷いたものに子猫を入れて動物病院に向かいました!
「頑張ってラッキーモモ!」
子供たちの懸命な想いにも応えられるよう、(名前ダサ!と思いながら)車を走らせました。


しかし、到着時刻は18時58分くらいになりました・・・
この時間にも関わらず、動物病院の待合室には何人もの人がおり、繁盛しているように見えます。
はじめてかかる動物病院。ノミだらけで助かる見込みの少ない猫を連れての受付は、とても気が引けました。
それでも、受付の方も先生も、いやな顔1つせず症状を見るやいなやすぐにノミの駆虫も含めた処置に取り掛かってくださいました。

駆虫後でこのノミの量・・・

恐らくノミからの感染症が引き起こした重度の貧血で、歯茎が真っ白で非常な危険な状況でした。
3日間のうちにどれ程餌を食べられるかにかかっていると告げられました。
栄養剤や抗生剤を投与していただき、餌のチュールなどまでもらって動物病院をあとにしたとき、20時を回っていました。

それから3日間はかかりっきりでした。
投薬や体温管理やノミ取り、感染症を持つ疑いもあるため、先住猫とのすみ分けなどがとても大変でした。
しかし、残業にいやな顔一つせず、懸命に命を繋ぎとめて下さった動物病院の方々のプロフェッショナルな姿勢が本当に励みになりました。


 


1週間が経ち、まだ歯茎の色も白く、やせ気味ですが、よく餌を食べおもちゃで遊べる状況まで回復しました。
名前ですが、オスと分かってので「ラッキーモモ」から「ラッキー」に妥協してもらいました。
子供たちもよく世話をしてくれるので、私は先住猫のケアに注力しています。
ラッキー、元気に育ってね!


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