漁村ライフ

養殖業の今と今年の抱負

皆様、新年明けましておめでとうございます!

1月分の更新が月内に間に合わず、大変申し訳ございません・・・

昨年の年末も沢山のご注文ありがとうございました!
毎年、活魚車の上に積まれる山のような返却カゴと、そこから覗く初日の出を見て、年明けを実感いたします。

さて、私は毎年、年初にその年の抱負を立てることにしています。

一昨年は、養殖業を本当の意味でサスティナブルな産業へと転換することを目標に定め、白寿真鯛0を育て上げ発表しました。

また昨年は、活魚を求めることが水産業をブラック化したらしめていると感じ、「①活魚以外の魚にも価値があることを伝えることと、②最大の保存力を持つ商品を世に送り出す」ことを抱負にしました。
そのため、2022年は「津本式で仕立てた白寿真鯛0」を海外、宅配寿司様、量販店など、様々な販売チャネルのお客様に販売し、活魚以外の魚の価値をPRしました。
そして、「急速冷凍」した沢山の白寿真鯛0フィレを世に送り出しました。冷凍のため、もちろん賞味期限は1年以上伸びました。



そんな私の今年の抱負は・・・



その前に、まず私が養殖業の課題と感じていることをお伝えします!

(私が感じる)養殖業の課題

現在最も養殖技術が進んでいる国として知られるノルウェー
そんなノルウェーの養殖企業が、近年日本の養殖地を見学し帰国した際にこう言ったそうです。
「40年前に先生として沢山の学びを与えてくれた日本が、40年前と同じことをしていた・・・」

日本の養殖業の最大の課題は「低成長」です。

そしてその低成長を生み出している最大の原因は、「多数の小規模経営体が漁場を割拠する産業モデル」にあると私は考えています。
説明します。

chatGPTによると、日本の真鯛養殖業者とノルウェーのサーモン養殖業者のビジネス形態には↓のような違いがあるようです。

なんと、日本の真鯛養殖経営体数は約10倍多く、いち経営体あたりの年商は、ノルウェーのサーモン養殖が約17倍多いようです・・・
(誤りがあればごめんなさい、その際は私からchatGPTにキツく言っておきます)
実際、年商が100億を超える真鯛養殖企業はほぼないと言えます。

では、この経営規模の違いが、なぜ低成長化に繋がるのか・・・
沢山ありますが、現状身をもって実感している最大の要因は、「技術の流入が少ない」ことです。

日本の真鯛養殖では、その経営規模の小ささのため、経営者やスタッフが、全て生産のプロフェッショナルであることがほとんどです。
裏を返せば、会社が生産の実務に携わる人々のみで構成されており、社員、経営者共々、販売や先進技術に手が回らないことが多いです。
そのため、企業というより1つの工場のイメージが近いと思います。
そうすると、先進技術を持つ企業・人材がその技術を養殖業界に売り込もうとしても、その分野の知識が0に近い方に1からその有用性を説明する必要があり、沢山の営業コスト(時間・説明、教育にたけた人材)が必要となります。
それにも関わらず、経営規模の小ささ故に一件の成約で見込める売上は大きくないとなると、他産業からの技術の流入は見込めません。
さらに、同じ真鯛生産者でも、生産者ごとに育成指針や育成方法、導入している器具がわりと異なり、画一化されていません。
そのため、生産者ごとに提案をカスタマイズする必要があります・・・

経営規模の小さく分散した産業モデルに技術が流入しない理由
✔︎技術の受け皿となる人材を設けることができない
✔︎生産方法が画一化されていないため、生産者ごとに提案のカスタマイズが必要
✔︎経営規模が小さいため、一件あたり大きな売上が見込めない
これにより
先進技術を持つ側の収益と営業コストが見合わないため、技術を流入させることができない

私はAI・IT系の先進技術を持つ方と、一緒に仕事をする機会に恵まれているのですが、常に「この技術をどうすれば養殖業界でマネタイズ(収益化)できるか」と考えています。
いかに面白い試みで、技術を持つ方の資金に余裕があっても、収益化できなければ持続的にその技術・知識を養殖業界に提供してもらうことは出来ません。
そのため、①先進技術を養殖業において効果を生む技術へと昇華させ、②その効果に見合う対価を技術者へ支払う必要があります。
①は自身に先進技術の受け皿となる知識があれば達成できそうですが、①の効果を最大化させ②を達成するためには、(外部からの先進技術の導入が固定費となることが多いため、)一定以上の経営規模が必要となります。

この課題は、有力な生産者が水平に規模を拡大し、先進技術の受皿となるポストを用意すれば解決しそうですが、産地ごとに生産数の上限が設けられている上、いち生産者が導入できる優良種苗の数にも制約があり、思うように規模を拡大できない実態があります。鯛のように出荷まで2年かかる魚種は、利益率のわりにイニシャルコストが嵩むことも課題となります。

経営規模を拡大しなければ海外養殖企業のような成長は望めない中、自社単体での水平拡大には制約がある。
そんな中で私が導き出した抱負がこちらです!

今年の抱負

今年の抱負は、「養殖業者が力を集結できる仕組みを作る」ことです。
武器を持つ10の養殖企業が集結し、生産を最適な形で画一化する。そして、販売や先進技術など、それぞれの武器をより広い範囲に活用することが出来るようになれば、ノルウェーのいち企業にも匹敵する規模を実現できると考えています。
この規模により、後継者のいない漁場の受皿となり、漁場を拡大することで、労働生産性を高めていく。
その結果、養殖を変える技術を持つ人々、企業にとって魅力的な集団となることで、養殖業界への技術流入を活発化させることが養殖の高成長産業化に繋がると信じています!
そのような仕組みが作れるよう、養殖業者にとって、魚を求める方々にとって魅力的な集団とは何か・・・
その集団が正しく養殖を発展・先進化させるよう機能するためにはどうすべきか・・・
悩みながら、アドバイスを乞いながら、行動して参ります!

厳選お刺身サービス「お魚定期便」に、白寿真鯛0が登場します

「お魚定期便」は、有名な伸東ヒラメの生産者であり津本式の公認者である伸東養魚さんが、
”全国で評判の高いブランド魚”を厳選し、毎月一品を津本式で熟成した上でお造りでお届けしてくれるサービスとなります。

商品例:タマカイと築地すしOMAKASEの東板長による煎り酒のセット

さらに伸東養魚さんが直々にスカウトして回った素晴らしい料理人さん(ミシュラン星つきの方もいるそうな)が作った様々な調味料がセットになって、扱いやすい冷凍状態でご自宅に届きます。
冷凍機は、「凍眠」という最新の急速冷凍機を使用されており、仕上がりは一流の料理人さんも唸らせるほど。
お造りの調理はプロの方にお願いするこだわりっぷり。(あの花造りの天才も、チームの一員とのこと)
津本式の風紀委員と呼ばれるほど、徹底した衛生基準を持つ伸東さんが、万全を期して発表した“熟成魚”の新サービスです。
今までのラインナップはこんな感じで、どれも個性が際立ちとても美味しかったです!

  



そんな注目のサービス「お魚定期便」の3月のメニューに、白寿真鯛0が登場します!
調味料を提供して下さる料理人さんは、注目のフレンチレストラン『プレヴナンス』の静井弘貴氏です。
どのような味に仕上げて下さるのか、とても楽しみにしております!



こちらからご購入できます、是非ご賞味ください!

愛媛マラソンに参加してきました

2月12日に開催された第60回愛媛マラソンに参加してきました。


実は年始から病に伏せがちで、ここ2ヶ月の練習中のタイムは散々でした・・・
しかし、松山の素晴らしい景観の中、とても良い天気の中気持ちよく走ることができ、なんとか自己ベストを更新することが出来ました!
何より知人の方も含めた沢山の方のご声援が力となりました!
みな様本当にありがとうございました。
魚をより美味しく食べるためにはじめたランニング、今年もコツコツ頑張ります。
そしてサブスリーを達成します!

ゴール前の直線にて。写真提供ありがとうございます




 

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